行動経済学

はじめに

日々の生活の中で、「なぜこんな選択をしたんだろう?」と自分の行動を振り返ったことはありませんか?行動経済学では、私たちが時に非合理的な意思決定をする理由を明らかにします。本記事では、行動経済学でよく取り上げられる5つの例を通じて、私たちの「不思議な選択」を解説します。

アンカリング効果

– 最初に見た数字が基準になる
例:テレビの価格に惑わされる私たち
家電量販店で50万円の高級テレビを見た後に、15万円のテレビを見ると、なぜか「これなら安い!」と感じたことはありませんか?これが「アンカリング効果」です。
最初に目にした数字や情報(アンカー)が基準となり、それ以降の判断に強い影響を与える心理的現象です。実際には15万円のテレビも高額なのに、最初の50万円の影響でお得に感じてしまうのです。

損失回避

– 損をしたくない気持ちが行動を左右する
例:ギャンブルの選択で見える心理
次の2つの選択肢が提示された場合、あなたはどちらを選びますか?
確実に1万円をもらう。
50%の確率で2万円をもらうが、50%の確率で何ももらえない。
多くの人が1万円を確実にもらう選択をします。しかし、次のような場合はどうでしょう?
確実に1万円を失う。
50%の確率で2万円を失うが、50%の確率で何も失わない。
こちらでは、50%の確率で損を回避できる2番目を選ぶ人が増えます。このように、人は利益よりも損失を強く避けようとする傾向があります。

確実性効果

– リスクを避けて確実なものを選ぶ
例:宝くじの選び方でわかる心理
あなたは次の2つの宝くじを前にしています。
宝くじA: 100%の確率で1万円もらえる。
宝くじB: 80%の確率で2万円もらえるが、20%の確率で何ももらえない。
多くの人がAを選ぶでしょう。「80%の確率」と聞くと「2割のリスク」を強く意識してしまい、たとえ期待値が高くても不確実な選択肢を避けるのです。このように、人は「確実性」を過大評価する傾向があります。

フレーミング効果

– 言い方ひとつで変わる選択
例:治療法の説明で変わる印象
ある治療法を次のように説明すると、人々の反応が大きく変わります。
A: 「90%の確率で助かる治療法です。」
B: 「10%の確率で亡くなる治療法です。」
内容は同じなのに、「助かる」と強調されると安心して治療を受ける人が増えます。一方で、「亡くなる」と表現されると不安を感じ、治療を避ける傾向が強まります。これが「フレーミング効果」です。

現状維持バイアス

– 今のままでいいと思い込む心理
例:退職金制度の切り替えを先延ばしにする理由
会社が新しい退職金制度を導入したとき、変更するには申請が必要で、申請しないと現状のままになります。この場合、手続きが簡単でも、多くの人が「現状のままでいいや」と判断します。
「現状維持バイアス」とは、変化を避け、現状を維持しようとする心理のことです。「変えるのが面倒」「失敗するかもしれない」といった気持ちが、この傾向を強めます。

まとめ

行動経済学を知ると、私たちが日々どれだけ感情や心理に影響されているかがよくわかります。これらの心理を理解することで、日常の意思決定を少しでも合理的に、そして後悔のないものにするヒントが得られるかもしれません。
あなたの生活の中にも、行動経済学の事例がきっと隠れています。次回、何かを選ぶときは、ぜひ「心理の不思議」に気づいてみてくださいね!

行動経済学

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